健康食としての そば 栄養
そばは古くから日本人に親しまれている食べ物です。比較的痩せた土壌でも育つため、米の栽培が難しい地域でも収穫でき、日本人の食生活に密着しています。そのため文学の素材としても良く取り上げられ、池波正太郎などの文豪の作品にも登場します。また、そばは調理が手軽で冷たくしても温かくしても美味しくいただけるので、四季を問わず多くの人に愛されています。最近ではそばに含まれる栄養が注目され、健康食としても見直されるようになりました。
そばには良質なたんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質は筋肉や内臓など人体の構成に欠かせない大切な栄養素で、その中でもそばのたんぱく質は必須アミノ酸(人体では作れない重要なたんぱく質)のリジンが小麦粉の2倍以上含まれています。リジンの含有量は米や小麦などの麺類には少なく、そば粉を混ぜると双方の必須アミノ酸のバランスが良くなることがわかっており、そばのつなぎに小麦粉を入れることは栄養バランスの面からも理にかなっています。
この他、重要な栄養素としてそばに多く含まれているのがビタミンの一種であるルチンです。ルチンは毛細血管を強化し、内出血を防ぐ働きがあります。ビタミンCと同時に摂ると効果が上がるので、天ぷらせいろなどで野菜と一緒に食べるのがお勧めです。なおルチンは水溶性のためそばをゆでる時に湯に溶けだしてしまうので、そば湯を忘れずにいただくようにしましょう。同じく水溶性のビタミンやミネラルも一緒に摂ることが出来ます。
そして、忘れてはいけないのが食物繊維です。食物繊維の摂取はとても重要で糖尿病、脳こうそく、大腸がんなどの予防が期待されています。そば粉は食物繊維を5パーセント含んでおり、その量は白米に比べて2倍以上にもなります。そばの食物繊維はヘミセルロースというもので水分吸収力に優れ、便秘の解消やコレステロールの増加抑制の効果があるとされています。最近では成人病に悩む西欧諸国でもそばの栄養素が注目され、様々な料理に用いられるようになりました。
上記のようにそばは各種栄養価に優れ、私たちの健康を保つ上でとても重要な食品です。日本人は以前に比べ多くの年代で食の欧米化が進み、その結果肥満や成人病に悩む人が増えてきています。サプリメントなどで栄養を補給するのではなく、白米の代わりにそばを食べる機会を増やせば良質な栄養素を美味しくいただくことが出来、まさに一石二鳥です。健康が気になる方や肥満を防ぎたい方は今一度食生活を見直してみてはいかがでしょうか。