巨大台風被害に備えろ 過去の教訓
昭和34年9月26日高知県潮岬に上陸し大阪はもとより近畿から東海地方にかけて大変な被害を残して行った台風第15号は後に伊勢湾台風命名されました。この台風は5,000人以上の犠牲者と40,000人近い負傷者を出し東海地方、特に名古屋市に於いては海側から山手側に市の人口移動が大きく行われた程です。 当時大阪に住んでいた私は幼いながらも父、母にしがみついて風雨が去るのを待ち続け強い恐怖を感じたのを覚えています。大阪でもかなりの被害でしたので、東海途方の被害は相当なものだったのでしょう。 その後昭和36年9月16日に第二室戸台風が大阪を襲いました。この時も大きな被害を出し死者200人近くを出しました。 日本という国は、ほかの国に比べても、面積がそれほど広くないにもかかわらず、南北に非常に長い国ですから、同じ国にいながらも、四季の移り変わりを感じることができますし、土地によって気候や風土が大きく異なるという特徴があります。例えば、2月の北海道といいますと、札幌の雪まつりが開催されているくらいですから、とても雪が多くて、寒い時期なのですが、南の沖縄県では、反対に亜熱帯の気候に属しますので、海に入ることも可能な時期になるのです。さて、こうした気候の違いが南北である日本ですが、雪に関しては沖縄県で見ることは、まずありませんが、台風に関しては、その影響の頻度や大きさは異なりますが、台風は北海道でも沖縄県でも見ることができます。 台風というのは、温かい南の方で空気や海面の水などが暖められて水蒸気となって、この温かい空気は上に上昇する性質がありますので、これが急速に起こることによって、強い熱帯低気圧になるのです。熱帯低気圧は、東アジアでは台湾付近で発生することが多いために、日本において台風という呼称で呼ばれる様になり、この台風が現在では、世界共通の呼び名になっています。また、このような熱帯低気圧は、東アジアだけに特有なものではなくて、世界各地で起こりますので、アメリカ大陸ではハリケーンと呼ばれインド洋で発生するものをサイクロンと呼びます。世界各地で台風の呼び方は異なりますがメカニズムは同じです。 台風の進路としては、台湾付近の海上から、大陸のある西に進む場合には、沖縄方面は台風の影響がありますが、大阪を含む本州方面にはあまり影響が及びません。 このときの大阪は、基本的に夏の勢力の強い太平洋高気圧が覆っているために、台風が近づけない状況なのです。しかし、大阪も夏の季節が過ぎて、太平洋高気圧の勢力が弱まりますと、台風の進路は大阪を含む本州方面に変わりやすくなります。 そして本州北部や北海道などは、台風が訪れる頻度が少ないために、沖縄ほどの台風対策が充実していませんので、いったん台風に本格的に襲われると、大きな被害につながりやすいという特徴があります。 例えば、沖縄では台風の風への対策として、屋根が低くて飛ばされにくい構造をした住宅が多いのですが、北海道などでは、雪対策のために、屋根を高くしていることが多いので、被害が出やすいのです。また、台風の影響としては、台風の目という言葉がありますように、台風の中心部よりも、台風が過ぎた後などに強くなる傾向があるので、台風が現在どの位置にあるのかを、正確に把握することが必要です。昨年は九州や東海、関東地方縦断の台風はありましたが、大阪にとっては幸い大阪直撃の台風は有りませんでした。 今年の大阪の猛暑は、今年の台風にどう影響するのでしょうか |