比叡山延暦寺は聖地にして、特に桜の名所です 見頃アクセス
比叡山延暦寺は、滋賀県大津市坂本本町にある寺院で、延暦7年(788年)に天台宗の開祖であり、近江国滋賀郡(現在の滋賀県坂本市)出身の最澄(伝教大師)によって創建されました。空海の開いた高野山と並んで平安時代における仏教の中心地となり、尊崇を集めました。その後も日本仏教の興隆に大きな役割を果たし続け、特に優れた仏教思想家を多数輩出しました。親鸞・法然・一遍・道元・日蓮など、鎌倉時代以降に新しい仏教の潮流を作り出した名僧たちの多くがこの比叡山延暦寺で修行の日々を送りました。
その後、政治的な影響力の増大をおそれた織田信長によって、比叡山延暦寺は一度は全山焼き討ちにされるという苦難を経験しましたが、やがて再興を遂げ、日本の代表的な聖地のひとつとしての地位を得て今に至っています。比叡山延暦寺では現在もなお千日回峯行・十二年籠山行などの古来より伝わる修行が行われており、仏教界における人材育成を行う学問や修行のための場所として重要な機能を果たしています。また、毎年8月には世界の宗教者を集めて「平和の祈り」という催しを開くなど、国際的な活動も行っています。
ところで、滋賀の比叡山延暦寺とはいうものの、この地に「比叡山延暦寺」という建物自体があるわけではありません。これは、山内にある150ほどの施設を総称した呼び名で、いわば山域全体がひとつの宗教空間となっているのです。山内は地域ごとに「東塔」「西塔」「横川」の3つに区分され、それぞれ本堂を有するほか多くの堂塔が立ち並び、境内では寺僧たちが修行に明け暮れています。なお、平成6年(1994年)には比叡山延暦寺全体がユネスコの世界遺産に登録されています。
そしてこの比叡山延暦寺は、宗教施設であるとともに、滋賀県のみならず日本を代表する観光スポットともなっています。京都と滋賀の県境にある比叡山は桜や紅葉など風光明媚な景勝の地であり、豊かな自然環境に恵まれています。山内にはロープウェイ・ドライブウェイが整備されており、滋賀県内はもちろん京都などからの交通アクセスも良好です。数々の堂塔を拝観して1200年を越える歴史に思いを馳せながら、自然散策をも楽しむことができます。滋賀や京都の町並みを望む展望台などの設備も整っています。
季節を問わず魅力的な観光スポットとなっているこの比叡山延暦寺ですが、地元滋賀県では特に桜の名所として知られています。比叡山延暦寺の桜はゴールデンウィークの頃がちょうど見ごろとなります。その時期には桜を目当てに滋賀をはじめ近隣県からも多くの観光客が訪れます。この地の桜は種類が豊富なことで知られています。菊桜、麒麟、楊貴妃、松月、貴船など、見られる桜の種類は約40種類を数えます。中でも西塔駐車場にある八重桜は見事です。毎年この時期には「萌桜会」なる桜祭りも開かれます。
【見ごろ】