■雪見障子の成り立ち
障子の歴史は古く平安時代から利用されている日本古来の窓であり仕切りです。多くの場合、横に滑らせて部屋を開放したり、閉じたりします。似たものに襖がありますが、それもそのはず、障子は元々は襖であり、そこから外の明かりを取り入れることができる明障子が生まれたと言われているのです。しかし、現在では残念なことに、家屋の様式化が進んだことでカーテンやガラスが使用されることが多くなっており、障子を見る機会も少なくなっています。
見かける機会が少なくなった一方で、障子の再評価が進んでいます。襖から別れた理由である、閉じたまま外の明かりを取り入れる効果や部屋に直接日光や紫外線が入り込まないように遮ったり、ガラス戸と組み合わせて断熱効果をもたせたり、外の風景を取り入れるなどの他にインテリアとしての評価が高まっているのです。また、修復や張替えなどで使用する障子紙に脱臭効果を付属させたものや光触媒をつけたものもあり、日本家屋の象徴とも言えるインテリア性とともにその機能が注目されているのは頼もしくもあります。
そんな数ある障子の中で雪見障子があります。
これは、外の明かりを取り入れる、直射日光を入れない、仕切りを作るという本来の特徴に加え、外の風景を見ることのできる障子で日本庭園が見える和室に設置されることが多くなっており、四季折々の変化を和室にいながらにして見ることができます。その構造は上下に分離していて、上半分は固定されている障子、下半分にガラス戸をはめた枠になっています。また、上半分の固定されている障子と下の枠に下ろすことのできる障子があります。外の風景を見ないときは、動かすことのできる障子を下におろして、普通の障子にように使うことができるのです。
これに似たものに猫間障子があります。これは、猫が室内外を移動できるようにしたもので、上半分が普通のもので、下半分が左右半分ずつに別れた障子です。左右のうち一方が固定されており、一方がガラス戸あるいは猫できるよう隙間のある枠になっていて、固定されていない障子を滑らせて閉じることができます。猫間はあまり有名ではなく、雪見と間違われることがありますので、業者に注文をするときは、上下に滑らせる型のものか、左右に滑らせる型のものかを確認しておくと安心です。
そして障子といえば、穴です。特に、実家を離れた子どもが孫を連れて里帰りして帰宅する頃には、大小の穴が開いています。中には、破れた部分に花を模した紙を貼るなどして、急ごしらえの対策をしている方もいるはずです。指で開けられた穴や敗れた穴を見ると、自分の子供の頃や実家を離れた家族の幼い頃が思い出されます。日本古来の障子は、屋外と屋内を仕切るだけでなく、明かりを取り入れ、紫外線を遮り、開放して庭や外の風景を眺めたり空気を入れ替えたり、猫が移動できるものまであります。そんな多彩な機能とともに、家族の生活や歴史が刻まれているのです。