靖国神社の由緒や靖国神社の存在意義
靖国神社は、明治維新時に殉職した人、戊辰戦争やその後の戦争で御国に命を捧げた英霊を御まつりする為に明治2年に建てられた東京招魂社が始まりとなり、その後明治12年に名称を靖国神社と改称されました。「靖国神社」という社号には、「祖国を平安にする」「平和な国家を建設する」という真摯な願いが込められていると言われています。
戦前の靖国神社は国家の管理下に置かれており、内務省と陸軍省、海軍省によって共同管理されていました。戦後は、日本国憲法によって政教分離政策をとることが明らかとされたため、靖国神社も国家の管理下から離れ、単なる一宗教法人となりました。しかし、靖国神社には軍人が英霊として祀られているために、公職に就く者の参拝が、しばしば「靖国神社参拝問題」としてマスコミに取りあげられています。終戦直後には、GHQによって靖国神社を焼き払う計画もあったと言われています。
もともと靖国神社は、日本が近代国家へ生まれ変わる明治維新の過程で失われた尊い命を忘れないために建てられた神社でした。明治維新という大事業を遂行し、近代国家の建設のために尽力した人々の霊を慰める目的で建てられたのです。ですので、諸外国で「靖国神社問題」が取り沙汰される時に問題視されている第二次世界大戦時の軍人のみが祀られているわけではありません。近代日本創設期に国内で発生した戊辰戦争や佐賀の乱、西南戦争などで亡くなられた方の魂も祀られています。
靖国神社に祀られている神霊の数は、246万6千余柱と言われています。諸外国から問題視されている第二次世界大戦後に戦争犯罪人として処刑された軍人の霊だけではなく、従軍看護婦や学徒動員されていた学徒や女学生など、軍属・文官・民間人の霊も数多く祀られています。つまり、抱いていた思想が正しかったのか間違っていたのかは別として、自分の愛する祖国を守りたいという一心で一命を捧げた人々の霊が祀られているという点では共通しています。
靖国神社が歴史問題を抱えているのは事実ですが、様々な文化遺産があることでも有名です。神社の敷地内には、歴史的な意味を持つ展示品が数多く並べられた遊就館がありますし、日本の近代軍事史や神道関係資料の専門図書館も設けられています。また、桜の名所としても、非常に有名ですので、春には大勢の花見客が訪れますし、外国からの観光客もたくさん靖国神社を訪れています。参拝の記念グッズなどもたくさん販売されていますので、日本の有名な観光名所の一つになっています。